2010年9月20日月曜日

ICUな恋

担当の、若いナースは、やはりICUで一番若いナースだった。 この彼女は絶対あやしい!いつもベッドの左に気配を感じるのだが、 この時も、ひだりに気配を感じ、ふりむくと、おれの鼻の頭に、ピタリと、当たるものがある!すると、彼女が、左45度にかまえ、右手をまっすぐおれの頭に向けている。その手の先には、長さ15㎝位、先端は、単語カード位で角は丸くしてある。手元に向けて細くなっている。 そして、その黒漆に螺鈿細工で桜吹雪が描いてあり、素晴らしいものである、それをおれの鼻先にあて「なんだ」と、おれがいうと「ふん、甘いな」と、いったまま去っていった。




このナース、夜勤の明け近く、部屋の真ん中の通路を、黒漆のなにかをもって、端から端まで、「えい!えい!えい!」と気合をいれて、素振りをしている。たまに、先輩にみつかり「またやってる!やめなさいよ」と、叱られている。この人は実在するのだが、やってることは おれの、幻覚だろう。



そして、もうひとり、わからない人物がいる。ここの主任医師である。 かなりのイケメンである。しかし、白衣を着たところをみたことがない。いつも、高そうなスーツ姿である。 この医師は、朝、早く出勤し帰りは夜中の12時半である。 新人ナースとこのイケメン医師が、アヤシクナルノデアル。



まず、このICUにはボイラーがあり、風呂もある。 時々、ナースたちもこの主任にボイラーをつけてもらい、夜勤明けなどに入って帰るようだ。



ある日、雨の夜、この主任がびしょぬれになって帰ってきた。 若いナースは、みんながいるにもかかわらず彼の世話をやきだした。 彼が風呂に入ってる間、脱いだものを必死にアイロンで乾かしている。 そして、この後、事件が起きる! アイロン掛けに感動したのか、自分への彼女の愛に応えようとしたのか?朝までの夜勤のふたり、12時すぎに、車に乗り、どこかへいってしまった。 残されたNsたちは憤慨し「ほんとにいったの!」「誰も行先ききかなかったの!」彼女たちは絶対許さない!に、意見は一致! 呼び出されたのが、主任の上司、ICUの室長である。彼は落ち着いていて 「なにかいっていかなかったかい?」「う~ん、しょうがないなぁ・・」と、ケイタイを取りだし呼び出した。 30分ほどでふたりは、うなだれて帰ってきた。 主任は、室長にお叱りをうけたあと、どこかに閉じこもってしまった。彼女は、みんなの冷たい視線のなか、担当患者のおれのそばから、動かなかった。



ここからふたりはますますヒートアップする!!!

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