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金髪君もふとっちょ君もまだ若い。二十歳そこそこに見えた。にぎやかに話しながら運転している。
おれは○○さんのレッカー車は?」と聞くと
「これ、まだまだ動くから、先に帰ったスヨ~!なあ、げははは!」と、太っちょと笑う。
おれは後部差席の真ん中から身を乗り出すようにして「なあ、そんなにスピードだして大丈夫か?」
といって、メーターを見ると80kは出ている。金髪君が
「だいじょうぶっすよ~。快調、快調!ゲハハハ!」
「でもさ、ブレーキ利かなかったぜ!」というと
「5速あるからいざって時は2速にぶち込めばエンジンブレーキ、サイドもあるし。こうやって・・・」
といいながら80kは出ているのにいきなり5速から2速にぶち込んだ!
ギアボックスからチュイ~ン!と言う金属音がして、急制動が掛かり僕の体は前につんのめり太っちょが座っている助手席にしこたま、頭をぶつけた。
「おい、おい、気をつけろよ。ギア、ぶっ壊れたんじゃないか?」と聞くと
「おれら、修理やだから、壊れたら修理しますよ~。ゲハハハ!」取り付く島も無い。
そのうち、広い丘のようなところに建物が並んで立つところを走っている。建物は敷地が広く門には守衛らしきものが立っている。大学の研究施設のようだ。「横須賀にこんなとこあったか?」と聞くと
「最近出来た街っすよ~。」金髪が答える。太っちょはまだ一言も口を利かない。
道はアップダウンが激しくなり勾配の一番底のに道が交差して信号がある。信号は赤だ。
スピードは落ちない。
「おい、赤だよ!」
「ブレーキ、利かないんっすよ~!」
「効かないって言ったじゃないか!」
「青にならないっすかね~!」
「だから、スピード落とせよ~!ギア、落とせよ!」
また奴は2速にぶち込んで今度こそギアボックスはガッチャーンといって2速がぶち壊れた音がした。
が、急制動はかかってスピードが落ちた。信号は青になりカリーナはぎりぎりで通過した。
「なあ、青になったじゃ~ん!ゲハハハ」
金髪が言うと太っちゃがうしろの俺の方を振り向いてニヤ~と笑った。
金髪はスピードを戻しながら「でもさ~、次はどうしようか?2速、壊れたっぽいよ。」
「ポイ、じゃね~よ!だからいったろ~!なんで2速にいれんだよ!」
俺は手にびっしょり汗をかいていた。
「じゃあさ、次は3速でいくね。足りんかったらサイド引くから。」
言い終わる前に、なだらかな坂になり、
交差点にはテープが3本、20m感覚くらいで張ってある。
「テープが張ってあるよ。どうすんの?」というと
「あれはね。最初のテープを20kで通過してそのまま20kで行けばテープは次々あがるって寸法!」
「じゃあ、スピード落とせよ!ていうか、何でそんなスピード出すんだよ!!!」俺は怒鳴った。
「だって、カリーナだもん。ゲハハハ!3速、行くよ~!」
ガン!ガン!と言った感じでスピードが落ち最初のテープをクリアした。
「次が無理だな~!」金髪がのほほんと言う。「なんとかしろ~!」俺は叫ぶ。
「サイド、2回引くよ~!再度だけに~!ゲハハハ!」
ガン!ガン!とサイドを引きブレーキがかかった。
スピードは20kでテープをクリアし3本目のテープもそのスピードでするするとあがっていった。
「イエ~イ!クリア~!」金髪と太っちょはハイタッチ!俺もハイタッチしていた。
3人とも手のひらは汗でびっしょり。
目が覚めると俺は体中、汗でびっしょりになっていた。
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