2011年9月18日日曜日

透析時間はなぜ、4時間?

透析を始めた昭和45年の透析時間は1回10時間、週2回でした。
トータル週20時間、当時の貧弱な透析効率ではとても足りませんが、
よりたくさんの腎不全患者の命を救うためには皆で分け合うしかなかったのです。

昭和46年に全腎協が立ち上がり、透析医療費の公費負担が決定し全国に透析施設が出来てくると、
患者数は増え、今度は国の財政事情により健康保険の点数の抑制が始まります。
昭和50年ごろは6時間で週3、週18時間でしたが、昭和60年ごろになると 健康保険の支払額が4時間透析と5時間透析が一緒になり、ほぼ全国的に4時間透析が定着しました。
それまで夜間透析にも点数が与えられていたのですが、なくなってしまい夜間透析の中止が相次ぎました。 このように透析時間は透析患者の健康というよりも財政事情に大きく起因します。

透析学会のデータでは4から4.5時間の透析と比較すると、
3.5時間未満では死亡率が3倍に増加。
4時間未満では死亡率が1.3倍に増加。
4.5時間以上では死亡率が0.8倍に減少します。
データによると4時間半以上の透析が至適透析時間といえるのですが、今は透析患者の増加により
多くの患者を施設透析でこなすため、4時間透析を基準であると言っているのです。

長期透析になってくるとこの慢性的透析不足による透析合併症が必ず、起こってきます。
それを減少、あるいは回避するためには長時間透析や頻回透析(週3回以上透析をすること)などが必要になってきます。 そのためには今の施設透析では限界があるのです。施設の人員不足も深刻です。

これからは在宅透析や施設を提供し少ないスタッフで患者と協力して透析を行うカスタムリミテッドケア透析など、 患者の人生設計などに合わせた形の細分化された透析スタイルが要求されてくるでしょう。

その実現のためには益々患者の自立や勉強が必要になります。
地域の患者会や全腎協の役割もそれに応じた大きなものとなっていくでしょう。
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